初心者のための絶対はずさないおすすめCDベスト3 Recommend CD Best3

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初心者のための絶対はずさないおすすめCDベスト3 Recommend CD Best3

ジャズ100年の歴史の中で、名曲や名演は数多くあれど、事アルバム単位で全曲おススメできるものをと言う事になると、その数はかなり限られたものになって来る。

それが、初心者のためにとなるとさらに限定されてしまう。ここでは、厳選に厳選を重ねた結果、奇しくもベスト3が全てジョン・コルトレーンのものになった。

ここにあげた3枚はどれもが、ジャズを初めて聴く初心者に自信を持っておススメできるものばかりである。これを聴いて、あまりピンとこない場合はジャズは向かないと断言できるよりすぐりの名盤3枚と言える。

もちろん、この結果を持って、ジャズの全てはジョン・コルトレーンであるとか、ジョン・コルトレーンだけ聴けば良いとか言うものではない事は明記しておく。ジャズはそんなに浅いものではない。いかな、ジョン・コルトレーンでも、ここにあげた3枚以外では、アルバムトータルで楽しめるものは後期のインパルス時代の「至上の愛」か「クレッセント」くらいしかなく、たしかにどちらも名盤だが、それとて通して聴くのは万人にはおススメできない。前期や中期にあたるプレスティッジやアトランティック時代には幾多の名演はあるが、アルバムを通してコンセプトがずれずに、しかも聴きあきないものはというとどれもが該当しない。

しかし、いずれにしても、晩年はフリージャズの世界に踏み込み、大衆的人気からは最も遠いところへと行ってしまったコルトレーンが、ジャズ初心者でもわかりやすく、聴きやすく、しかも必ずや心を揺り動かす音楽を残したということは特筆に値する。

ここにあげたベスト3はそれぞれのジャズの側面である、アクティブなアップテンポ中心の曲や、ゆったりとしたバラードやスロー、ジャズボーカルとそれをサポートする伴奏などの点からみても最高の見本が展開される。

この3枚を聞いて、ジャズに少しでも興味が湧いた場合は、コルトレーンはもちろん他のミュージシャンやジャンルのジャズに踏み込んで行くことを心からオススメします。勇気を持って進めば、必ずそれなりの見返りが得られる事ができる世界、それがジャズの最大の魅力。ようこそ、深遠なジャズの世界へ。

アクティブでアップテンポな気分の時は

ジョン・コルトレーン

「ブルートレイン」

ジャズの持つアクティブな躍動感と高揚感をこれほど示したアルバムはない。
1曲目「ブルートレイン」に始まり、3管のサウンドが心地よい「モーメンツ・ノーティス」、この時期のコルトレーンのプレイの根底に流れるのはビバップだとわかる3曲目「ロコモーション」、オアシスのようなバラード「アイム・オールド・ファッションド」、そして、共演者の中でも出色な存在感を見せるトランペット奏者の「リー・モーガン」が冴えに冴える終曲の「レイジー・バード」まで、全編これ最良のモダンジャズという奇跡的な1枚。

バラード、スローにゆったり浸りたい時は

ジョン・コルトレーン

「バラード」

ジャズの持っている、大人の音楽としての側面、それを語るのに最もふさわしいと言えるのが、このCDの1曲目に入っているバラード「セイ・イット」。テナーサックスは人の声に似ていると言われるが、ここでのコルトレーンのサックスはまさにシンガー。若き日のマッコイ・タイナーの可憐なピアノの伴奏も、しっとりとコルトレーンに寄り添いムードは満点。そのほかにも2曲目「恋の味をご存じないのね」や4曲目の「オール・オア・ナッシング・アット・オール」、6曲目の「ホワッツ・ニュー」など大人の恋をサックスでまさに歌い上げる名盤。

ボーカル、歌伴のムードに酔いたい時は

ジョン・コルトレーン

「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」

このCDは、先にあげた「バラード」の姉妹盤のようなアルバム。バラードの雰囲気はそのままに、ますます艶っぽいサックスの音色を奏でるコルトレーン。そこにシブい伊達男のハートマンのバリトンヴォイスが絡みしっとりとした大人の恋を歌いあげます。ハートマンの低い艶やかな声がジャズの大人を感じさせる好盤。

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